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老成学研究所 > 時代への提言 > 『今、国学の呼びかけるもの』シリーズ > 「今、国学の呼びかけるもの」シリーズ ⑦ その3:「五十音図の改訂:本居宣長の説明」
五十音図の改訂:本居宣長の説明
本居宣長は 1776年(安永5年)47歳の時、刊行の「字音仮名用格(じおんかなづかい)」において
平安時代以来の五十音図 「オ」と「ヲ」の場所を改訂しました。
宣長は 言葉に対し 鋭い直感力と想像力をもっており その説明を以下のように展開しました。
「字音仮名用格」P6~P7に「おを所属辨」という記述があり、
「あいうえ」と「を」、
「わゐうえ」と「お」が
それぞれ同じ行に置くには、異質な音の構造をしていることに着目し、
これが誤りであること を論証しました。
「オは軽くしてア行に属しヲは重くしてワ行に属す。然るを古來錯りてヲをア行に属して軽としオをワ行に属して重とす。諸説同一にして数百年來いまだ其非を暁れる人なし。…(略)
まづ古言を以ていはば息を於伎(おき)とも通はし云これオはイと同くア行の音なる故也。…(略)
居(ゐる)を乎流(をる)ともいひ多和夜女(たわやめ)を多乎夜女(たをやめ)ともいひ…。これら皆ヲはワ行なる故の通音也。…
(説明は続く)」
つまり
宣長は「音の置き換えは同じ行の音でのみ許される」というきまり(五音相通:現在はこの考え方は行わない)を根拠に オとヲの違い に気づきました。
「居る」という言葉は、「ヰル」とも「ヲル」とも言え、
「ワナナク」は「ヲノノク」とも言えます。
もっと現代的に分かりやすくいうなら、
「酒」は「さけ」「さか」となります。
こうした音の置き換えは、同じ行の音にだけ互いに通用するのです。
数世紀にわたって 権威をもって継承されてきた五十音図の改訂は
このような宣長の言葉に対する特別な才能によって
成されました。
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浜松市立賀茂真淵記念館
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(編集:前澤 祐貴子)
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