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久保田進一の「楽しんでる」?シリーズ ② 映画: 座頭市と「座頭市物語」を観て 
時代への提言 | 2021.09.17

久保田進一

「楽しんでる?」シリーズ

座頭市

映画『座頭市物語』を観て

主演『ICHI』(2008)

香取慎吾主演『座頭市 THE LAST』(2010)もあり、


  久保田 進一

 先日、映画『座頭市物語』を観てきました。

この映画は、1962年に公開された映画です。私がこの世に存在していない時の映画です。これも、<午前十時の映画祭>で公開されました。

元々は白黒映画ですが、さすが4Kデジタル修復版の映画です。そのため、映像は綺麗でした。これが、フィルムだと劣化が進み、鮮やかには映っていなかったでしょう。恐らく デジタル技術で劣化したフィルムの部分は修復されていた と思います。とはいえ、白黒ですので、やはり時代を感じます。

さて、座頭市といえば、当然主演は勝新(勝新太郎)です。盲目でありながら居合の達人で、バッタバッタと敵を切っていくという話です。あまり内容に触れると、ネタバレになりますので、ご了承ください。

私が座頭市を見たのは、1970年代にテレビで観たものでした。この作品はそれよりも10年以上も前の作品です。座頭市は、ある意味、勝新太郎の代名詞になっている と言えるでしょう。

 (私のなかでは、勝新太郎と言えば1990年、ハワイのホノルル空港でマリファナとコカインが下着の中に入っていて、その時の勝新太郎の有名な言葉が「もうパンツははかない」というもので、こちらの方に印象があるのですが。奥さんの玉緒さんは大変だったと思います)

 しかも、この作品、映像も修復されて鮮やかなのですが、音声も昔のままになっているのが、極めて新鮮でした。「めくら」、「つんぼ」、「かたわ」(差別するつもりで書いているのではなく、作品に登場したという事実として書いています)という言葉が普通に出ていたということに驚きました。

この頃の映画は、こういう台詞が普通にあったのですが、十数年前から、こういう言葉はプッツと切られていました。以前、中村敦夫の主演の『木枯らし紋次郎』がテレビで再放送されていた時、プッツ、プッツ、プッツと音声が切られていました。また、映画『七人の侍』においてもこのような差別を助長するような言葉は、プッツと切られていたのです。これは、ある意味、作品に対する冒涜ではないのかと思うぐらいです。それに対して、今回見た『座頭市物語』は、そのまま音声はプッツとされないで上映されていました。

 『座頭市物語」を観て視覚障害に思いを馳せました。今年はちょうどパラリンピックも開催され、視覚障害者の人たちの競技にも関心がありました。特に、柔道は私も経験者で、注目しておりました。

視覚障害者で柔道をしている選手にとっては、最初から道着をつかんでいるとは言え、相手がどういう動きをしているかがわからなければ、技をかけることも技を防ぐこともできません。目からの情報がない状態で、相手に技をかけるということは、かなり難しいのではないか と感じてしまいます。彼らは、相手の気配というものを感じるのでしょう。

『座頭市物語』でも、そのような気配を感じる場面がしばしばあります。その中で、敵を圧倒的に切っていくという居合術は見事なものです。

この『座頭市物語』を皮切りに26作品の映画が封切りされました。さらに、テレビドラマでもフジテレビで4シリーズが勝プロダクションによって、制作されました。

 さて、座頭市は勝新以外でもリメイク版の映画はできています。北野武監督・ビートたけし主演の『座頭市』(2003)、綾瀬はるかいうダークヒーローは引き継がれていると思います。これらの作品は、やはり勝新太郎の座頭市へのリスペクトで作られたものだと思います。

 いやぁ、映画って本当にいいもんですね~。

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