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防潮堤 ⑸ 総事業費 約331億4400万円 
時代への提言 | 2021.07.19

はじめに

老成学研究所における本シリーズは、”浜松防潮堤”という「現代の奇跡」のような構造物の認知普及を当研究所ホームページを通して更に拡げさせていただきますことで、そこに込められた叡智・想いを伝承させていただくことにあります.

当シリーズにてご紹介させていただいております情報源は、正確を期するために、そのデータ、資料、写真/画像は『浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌』より抜粋・引用・転載させていただいております。

故に より詳しい情報をお求めの方は是非 下記添付の「静岡県浜松土木事務所ホームページ」をご参照くださいませ.


(資料提供: 静岡県浜松土木事務所)

「浜松防潮堤」シリーズ

総事業費

約331億4400万円

(資料提供:静岡県浜松土木事務所)

2021年3月、静岡県は

「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」を発刊。

浜松市沿岸域防潮堤の竣工にあたり、

後世に参考となる記録を残す為である。

完全版は函入り3点セット。

本編: 12章構成 /  A4版 696ページ。

事業着手経緯、計画、調査、設計、施工、各種委員会、環境調査・環境保全 等全12章 及び 新聞記事。

電子版: DVD2枚。

写真、論文、附属資料、動画 等。

概要版: A4版 42ページ。

写真及び防潮堤の概要、基本方針、事業の進め方、経緯、設計・施工、環境保全について記載。

同記念誌は 本事業に大きく寄与した寄付者(一条工務店グループ及び浜松商工会議所等)や図書館、県内大学、浜松市内の高等学校、関係機関等に配布。尚、概要版については広く希望者に配布している。

(2021年4月28日 静岡県 交通基盤部 河川砂防局河川海岸整備課 担当会見より抜粋)

2012年(平成24年)事業着手、

2014年(平成26年)から本格着工、

2020年3月31日(令和2年)をもって竣工。

本事業にまつわる集大成が文字として纏められた。

この知恵は未来に引き継がれる。

(資料提供:静岡県浜松土木事務所)

さて 数字とは極めて客観的指標 となり得る。

同「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」概要版(P.25)には『事業費執行の推移』(2012*〜2019年/平成24年〜令和1年)が記載されている。(以下の一覧表を参照されたい)

* 2012年は本格着工の2014年に遡ること2年前となる。準備段階はその時から始まっていた。

(出典:「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」概要版 P.25)

改めて本事業を振り返る。

総事業費約331億4400万円。年度ごとに工事の進捗状態を反映して支出対象カテゴリーが変遷するのがみてとれる。

ちなみに予算とは毎年一定、変化なし ではなく、時代、突発事項によりその特徴を反映して大きく変容するものではあるものの、「浜松防潮堤」事業が完全に完了した翌年度の静岡県2021年度(令和3年度)予算(一般会計)は、1兆3094億円である。

(静岡県公式ホームページ ふじのくに / 2021年(令和3年)3月26日更新分から抜粋)

また静岡県2021年度(令和3年)予算(一般会計)歳出における部局別予算額は

・危機管理部で74億5700万円

・交通基盤部で1267億6900万

である。

(「令和3年度当初予算 部局調整案の概要 2.12.14 静岡県」より抜粋)

静岡県公式ホームページ:  https://www.pref.shizuoka.jp

次に 「浜松防潮堤」が実際設置された浜松市の年間歳出大枠である。

2021年度(令和3年度)浜松市予算(一般会計)を3501億円と計上し、うち土木費 422億6271万8000円を計上している。

(「令和3年度 当初予算案の参考資料 令和3年2月 浜松市」より抜粋)

浜松市ホームページ: https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp

上記の関連自治体の公費予算額と「浜松防潮堤」総事業費の額をよく吟味していただきたい。

県内においては一都市に過ぎない浜松市に危機管理系費用や土木事業関連の予算の大半を充てることは不可能であり、かつ当該行政担当の浜松市においても(「防潮堤」の貢献性は理解しながらも)市の財政のバランスを不均衡化する当事業には踏み出せないでいたのが過去の現状である。

風が吹いた  のは 民間 からである。

寄付 という形で 

「浜松防潮堤」建設事業事業資金として

300億円が申し出られた。

株)一条工務店 である。

1978年9月浜松市にて設立。資本金5億4460万円。

経常利益約377億円の大手住宅メーカー。

静岡県、浜松市、一条工務店グループの三者基本合意では、一条工務店グループが2012年度から3回に分けて300億円を寄付する。併せて 『静岡県は出来るだけ早く防潮堤を着工し、水門など周辺設備の整備も行う』とされた。

(全景:天竜川から西を臨む 2020年/令和2年02月19日撮影;

「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」概要版より抜粋)


(全景:浜名湖今切口から東を臨む 2020年/令和2年02月19日撮影;

「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」概要版より抜粋)


「浜松防潮堤」整備の正式契機は2012年(平成24年)6月11日の三者基本合意

(県庁で会見→発表)

(「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」概要版 P.06より抜粋)

その内容は;

・一条工務店グループは、静岡県に対し浜松市沿岸域の防潮堤整備に用いる費用として300億円を寄付

・静岡県は、できるだけ早い時期に着工し、完成させる。工事対象区間は、天竜川西岸から浜名湖今切口東岸までの約17.5km。

県は馬込川河口部に必要な津波対策を迅速に行う。

・浜松市は、防潮堤整備に必要な土砂を確保する。

県を連携・協力し、理解促進のための住民・各種団体への説明を行う。

(「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」概要版 P.06より抜粋)

以後、浜松防潮堤竣工までの経緯・動向は簡略に 以下のようになる。

2012年(平成24年)

 

6月  三者基本合意

9月  着手式(防潮堤整備事業に着手)

12月 浜松市沿岸域防潮堤整備推進協議会 設立

2013年(平成25年)

4月  着工式(防潮堤工事に着手)

6月  静岡県第4次地震被害想定 発表(第1次報告)

7月  本体工の試験施行 着工

2014年(平成26年)

3月  篠原工区において本体工の本施行 着工

4月  みんなでつくろう防潮堤市民の会 発足

6月  安全祈願祭

2015年(平成27年)

4月  浜松市防潮堤資料室 開設式

2016年(平成28年)

7月  篠原工区 本体工事竣工 報告会

2018年(平成30年)

12月  第12回 防潮堤整備促進協議会(防潮堤の一部区間の嵩上げを報告)

2020年(令和2年)

3月  防潮堤 竣工

(「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」概要版 P.22より抜粋)


(『竣工報告会』:「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」概要版 P.19より抜粋)

一千年の計がこれで成立した。

想いが いつ 誰を 護るかは わからない…

しかし 確実にこれで 救われる命がある。

未来に託すには 未来を護らなければならない。

地域からの発意により

浜松防潮堤の通称は

「一条堤」と呼ばれることとなった。

(「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」概要版より抜粋)

「一条堤」の”一条”が 

一条グループの一条に由来することは 言うまでもない。

(「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」概要版 P.39より抜粋)

※ 詳細なデータ、説明、資料につきましては、「浜松市沿岸域防潮堤(通称 一条堤)竣工記念誌」 を 是非ご参照ください。更に詳細な情報が盛り込まれております。概要版は浜松土木事務所で入手可能です。

(文・編集:前澤 祐貴子)


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