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防潮堤 ⑷ 規模 世界一 : CSGによる浜松防潮堤
時代への提言 | 2021.02.13

(静岡県浜松土木事務所ホームページより引用)

世界的にも類を見ない規模の 

Cemented Sand and Gravel による防潮堤:

浜松防潮堤

はじめに

浜松防潮堤シリーズも今号で第4弾となり、専門的な要素も取り込んだ より詳しいご紹介段階に突入致しました。

老成学研究所における本シリーズは、”浜松防潮堤”という「現代の奇跡」のような構造物の認知普及を当研究所ホームページを通して更に拡げさせていただきますことで、そこに込められた叡智・想いを伝承させていただくことにありますが、一連のご紹介活動において、静岡県浜松土木事務所の全面的なご協力なくしては成立致しません。この場をもちまして感謝申し上げます。

当シリーズにてご紹介させていただいております情報源は、正確を期するために、そのデータ、資料、談話、写真/画像に至るまでほぼ全て 静岡県浜松土木事務所がそのホームページにおいて公開/保管されておられるものから許諾を受け、抜粋・引用・転載させていただいております。

(故に より詳しい情報をお求めの方は是非 下記添付の「静岡県浜松土木事務所ホームページ」をご参照くださいませ)

特に今号に関しましては かなり専門的な用語、根幹の仕組みに触れることとなりますため、以下、静岡県浜松土木事務所ホームページからの抜粋・引用・転載が多いことを予めお断りさせていただきます。

初めに

©︎Y.Maezawa

太陽と

©︎Y.Maezawa

      空と

©︎Y.Maezawa

   海と

©︎Y.Maezawa

      大地が

あった

浜松防潮堤は、約17.5kmの浜松市沿岸域(天竜川河口から浜名湖今切口まで)をダム技術であるCSG(Cemented Sand and Gravel)工法で製造した、同工法における世界最大規模の防潮堤である。

 

※ CSGとは土砂にセメントを加え固めたもの/土砂よりも硬い。

(静岡県浜松土木事務所ホームページより引用)

新たな技術に先陣を切る

CSGという技術を使い、これだけの規模で防潮堤を造成するのは、県はおろか日本でも事例が無い。

平成26年度 本格着手した本体工事は建設関係者にして

「今まで経験の無い技術であり、施工規模も大きい。どうしたら安全かつ効率的に施工できるのか、最初は試行錯誤の連続でした。」

と言わしめたものであった。

(静岡県浜松土木事務所 ホームページより引用)

CSGは、近傍で容易に入手できる砂礫等にセメント、水を添加し、簡易な混合設備により製造される材料です。また、永久構造物として配合設計や品質管理手法が確立されている日本で生まれた高度な技術であり、ダムの堤体等で近年多くの実績があります。

具体的には、CSGは材料の分級、粒度調整、洗浄は行わず、粒度と単位水量の変動を許容しますが、強度決定手法及び品質管理手法を有し、必要強度が確保されるものです。

なお、海岸構造物としては、福島県や宮城県の海岸で高潮対策のための海岸堤防として用いられています。

(静岡県浜松土木事務所ホームページより引用)




中央に台形状に防潮堤を配置し、

その両側を土砂や砂などで被覆する3タイプの基本構造。


(静岡県浜松土木事務所ホームページより引用)

【防潮堤】

長さ:17.5km

高さ:13〜15m

* 海側は海岸防災林/松林(抵抗性クロマツ、トベラ、マサキ、シャリンバイ)を盛り上げる形。

巨大な津波に耐えうる十分な強度の確保には 防潮堤の主要部材であるCSGの強度に直結する密度をしっかりと管理すること が最も重要になります。 

それ故、何重にも試験を行い、手間をかけ、品質を保つシステムを築いています。CSGを混ぜる前、混ぜた後、更には現場での転圧完了後にもCSGを打設した工区では、転圧完了後、施工日毎に、それぞれ打設した箇所で密度測定を行います。その上、サンプル供試体を作り圧縮強度試験を行うことで、その密度で十分な強度が出ていることを確認しています。 

(静岡県浜松土木事務所ホームページより引用)

(静岡県浜松土木事務所ホームページより引用)

そして

基本軸に添いながら、海岸エリアごとに異なる独特の環境や景観に配慮。

一様な工法で整備せず、ルートと構造に工夫し対応。




(静岡県浜松土木事務所ホームページより引用)

浜松防潮堤の最大の目的は、減災を見込んだ防災である。

人命を失わないために

「今、現実的に、具体的に、出来得ることは何か?」を

突き詰めた知恵の具現化である。

しかし同時に、その突き詰めの中に  想い  を盛り込んだ。

それは 

長い間 共に 生きてきた/生きさせていただいてきた 

”地球号の仲間たち” への  仲間意識  

である。

同じ空のもと

いつもの海を感じながら

同じ大地に時を刻みながら

生きてきた”仲間たち”への せめてもの、いや 当たり前の 

配慮 と 思いやり である。

* ”環境”対応対策の具体的な取り組みについては、次々号(2021.04号)にて 取り上げる予定です。

また防潮堤築堤におけるCSG工法の採用は、汎用建設機械による施工を可能とし、コスト削減もさることながら、地元企業が参加しやすい環境を作り上げた。結果的に地域経済に貢献に寄与するものとなった。

CSGの材料として、浜松市天竜区阿蔵の山、又は浜松市北区引佐町の山より採取した泥岩および段丘堆積土砂を約2,010,000立方メートル、最大粒径80mm以下に破砕したものを使用しました。

調査・試験、運搬、築堤関連工事全般にわたり、地元関連産業の参画が活発になりました。

  例えば

    築堤工事については、機動力に優れた地元企業が、

    CSGの製造については、CSG製造に関して十分な実績のある施工業者が、

    阿蔵山のCSG材料採取工事については、別途浜松市が発注する業者が、

  担当しました。

(静岡県土木事務所ホームページより引用)

(静岡県浜松土木事務所ホームページより引用)

想定される最大級の地震・津波に対してCSGによる安定した構造を備えた浜松防潮堤は、海岸防災林や砂浜の再生、環境面・景観面に対する配慮、築堤事業の経済的効果、様々な要素を兼ね備えた未来に誇る次世代型防潮堤として世界中の地震・津波対策に一つのモデルを提した。

最後に是非、特筆するべきことがある。

「品質と安全に妥協を許さない」という気概で 太陽光線、風、砂、雨…を遮るものすらない大海原 太平洋とまさに向かい合った遠州灘沿岸部で 短期間とはいえ7年間連日、最先端の未知のプロジェクトに汗を流された工事関係者の方々の貢献である。


『工事現場内は、規律が徹底されている。

一般車両が通らない工事用道路であっても、速度は30km/h以下が基本で、交差点付近では20km/hまで速度制限する。

ヘルメット着用はもちろんのこと、くわえタバコひとつも許さない。


現場には緊張感が漂い、「堅実な施工体制こそが、品質と安全を作り上げる」という信念が感じられる。地道な努力だけでなく、GPSを利用した最新の施工管理システムを取り入れるなど、品質・安全管理に妥協は無い。


早期実現を合言葉に、浜松市民の皆様に安全・安心を届けたい。防潮堤事業は、オール浜松で推進する事業です。地元企業として、使命感を持って取り組んでいます。(工事関係者)』   

(静岡県土木事務所ホームページより引用)

形が遺る  には  想い  が先行する。


「浜松市民の安全・安心の為、一日でも早く防潮堤を完成させたいと職員一同がんばっています。」(工事関係者)

(静岡県土木事務所ホームページより引用)

『誰かのために』叡智を磨き、役立てる…

浜松防潮堤は一つの象徴となった。

(文・編集:前澤 祐貴子)

* 次号は、経済的側面/コストについて取り上げる予定です。

※ 詳細なデータ、説明、資料につきましては、下記 静岡県土木事務所ホームページ を 是非ご参照ください。更に詳細な情報が盛り込まれております。

https://www.pref.shizuoka.jp/kensetsu/ke-890/bouchoutei/

※ 改めて 明記致しますが、上載の内部関係機関にしか撮影できない貴重な”浜松防潮堤”築堤過程の関連写真/画像群につきましては、全て 掲載許諾を受け、静岡県浜松土木事務所ホームページから転載させていただいております。ご協力感謝申し上げます。

* ご意見・ご感想など是非下記コメント欄ににお寄せくださいませ。

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