活動の実績

老成学研究所 > 活動の実績 > 【研究交流】寄稿・提言 > 【研究交流】寄稿・提言:❷ 『老いと怒り』 西遠女子学園 学園長 岡本肇

【研究交流】寄稿・提言:❷ 『老いと怒り』 西遠女子学園 学園長 岡本肇
活動の実績 | 2021.01.01

老いと怒り

静岡県西遠女子学園 学園長

岡本 肇

「今時の若い連中は…」と昔からよく言われるが、近頃老人の暴言や乱暴な振る舞いが話題になる。

病院の窓口で大声をあげている年配者や、バスの運転手に絡んで発車の邪魔をしている老人を見たことがある。「年甲斐もない」とか「いい歳をして」とか「大人気ない」というが見苦しい限りである。6歳の子供にタバコのポイ捨てを注意された老人が激昂して子供の首を絞めた という記事を読んだこともある。

脳科学で「怒り」は大脳辺縁系という所で起こるが、それをコントロールするのが前頭葉だそうである。前頭葉は加齢と共に老化して「怒り」を抑えられなくなる と説明されている。科学的に言えばそういう事になるが、老人が怒るのは自分が軽んじられ、見下され、馬鹿にされていると思った時である。

家康が「怒りは敵と思え」と言ってるように、歳を取ったら怒りは要注意である。一度怒りの堰が切れると土砂崩れのように収集がつかなくなる。昔の恨みつらみまで出てきて、自分が何を怒っているのかわからなくなることがある。恐いのはこれで人格までもが曝け出されてしまうことである。

温厚な老紳士と思っていた人が、ガソリンスタンドの店員を大声で叱っているのを見たことがある。何があったか知らないが、弱い立場の店員に車の中から聞くに耐えない言葉を投げつけていた。普段知っているその人の印象が全く変わってしまった。紳士のように見えたのは外面を装っていたからで本性は違うのではないかと思うと、心当たりが次々と出てくるのである。奥さんへの態度、自分の会社に電話する時の横柄な言葉遣いなど、その時違和感を感じた事が思い出される。

「怒りは激情から始まり、後悔で終わる」というが、

怒りに任せて鬱憤を晴らした後は大体大きな失敗をする。

「口から出した舌は引っ込めることができるが、口から出た言葉は取り戻せない」という諺があるが、歳をとるほどに「怒り」に気をつけなければならない。パワハラ防止法ができてアンガーマネジメントの本が沢山出ているが、前頭葉から老化していく老人にこそ必要な本かもしれない。

 
一覧へ戻る
© 老成学. All Rights Reserved.
© 老成学. All Rights Reserved.

TOP