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【寄稿E】[12]『耳から入る楽しみ』 遠藤幸英
時代への提言 | 2024.11.21

©︎Y.Maezawa

耳から入る楽しみ

演劇研究家

遠藤 幸英

以前から寝つきの悪い枕元で 誰かの話を聞かないと具合が悪い。

まだスマホをもってい なかった頃は ノートブックにイヤホン繋いで (youtube)落語や怪談を聞いていた。

やがて スマホに切り替えると 使い勝手が格段によくなった。

最近は 主に 怪談ならびに(小説の)朗読を愛好している。

朗読者はプロの俳優やアマチ ュアの読み手だが、

専門的修業のあるなしに関わらず 

それぞれに味わいがあると思わせる方々が 結構いる。

(聞き手の好みはさまざまなので読み手の評価は必ずしも定まらないとは 思うが。)

つい先日 何人か 強い印象を受けた朗読に出くわした。

とはいえ、これも個人的評価にしかすぎないことは断るまでもない。

それでも何件か ご紹介したい。

©︎Y.Maezawa

読み手「こうえい」による山本周五郎・作『水たたき』

みずたたき」は 副主人公おうら(茶屋の女)が間違って覚えた川辺の昆虫「水すまし」 のことである。

この間違いが 純情なおうらの魅力を表している。

「こうえい」さんの URL:

 https://www.youtube.com/channel/UCo0PTh1TvkP7IwZxfg9SE_Q

「水たたき」をネット検索して 三遊亭圓生による朗読もあることを知った。

コリラは 歌舞伎の伴奏音楽である清元が挿入されていて 

圓生の声音とあいまって 男女関係の機微が 実にみごとに表現されている と思う。

だだ 残念ながら 三等分されて放送された最後の部分のみが収録されている。

©︎Y.Maezawa

他にも いくつか ご紹介させていただこう。

(かつて前進座で演技を学んだという)プロの俳優 鈴木慎平さんの朗読もいい。

その中でも 個人的には 岡本綺堂・作『半七捕物帳』

原作は 70 話前後あるらしい。

朗読の場合 1 話 につき約 60 分。毎回 物語の背景に関する後書きがついている。

 https://www.youtube.com/watch?v=qqZZW6L4Jg4

鈴木慎平さんは 第 53 話まで公開されているが、

あべよしみ(女声)さんは ほぼ全話カバ ーしているようだ。

 https://www.youtube.com/playlist?list=PLX2W9l7hBGxUWdZFLjRgayYBUPAKOozS3

©︎Y.Maezawa

朗読劇場ともだち座」*も 心なごむ作品を朗読している。

とりわけ 海野弘の 江戶の人間模様を題材にした短編シリーズが 面白い。

https://www.youtube.com/@tomodachiz

例えば 海野弘 

小粋な江戶の物語『江戶妖かし草子』から「相師*南北」の朗読など

 一編 30 分の⻑さ。

*相師とは易者のこと

 https://www.youtube.com/watch?v=yEi–hSnTew

ちなみに 原作者の 海野弘  (1939〜2023 年) は 

1960 年代から 平凡社の『太陽』編集に携わるなどして 

文芸評論などで 大きな業績を残している。

中でも  1960 年代末 

日本ではあまり注目されることがなかったヨーロッパ発の美術運動「アール・ノーヴォー」の存在

世に知らしめた。

©︎Y.Maezawa

もう 朗読サイトの紹介は それで十分だと言われそうだが、

山本周五郎や藤沢周平の(主に)時代小説を朗読する「ラジオ深夜便 FM 放送曲」も 

是非お勧めしたい。

https://www.youtube.com/@Radio.Midnight.FM.Station.2023

©︎Y.Maezawa

⻑々と綴ってしまいましたが、

耳だけで楽しむ文芸作品も いいものです。

(編集: 前澤 祐貴子)

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