『父さんの　古時計の国』

❻-1

「父さん」

父さん　帰った？

ムニュムニュ

よいしょ

まだ　いる！

待ってー

よーし

父さん！

父さん

今日は　まだまだ　居る？

ボクの名は　レイヤ

精工舎市、八角合長時計（はっかく　あいなが　とけい）町、

ライオン番地、　明治25年建造の　今では珍しい古屋敷　に住んでいる

表玄関には　自慢の金ライオンが刻まれているのさ！

父さん　僕の家、　点検してくれる？

作業する？

邪魔？

するり

父さんは　こうやって　ボクたちの国を護ってくれる。

いつも　いつも　ずっとね…

現在のSEIKOの前身は　精工舎

明治25年頃　東京市　本所（ほんじょ）石原町に工場があったが

騒音問題にて　約１年で　本所　柳島（やなぎしま）に移転し　

そこから　改めて　本格的なスタートを切ることとなった

故に　石原町工場で生産された八角合長時計（はっかく　あいなが）　

SEIKO ISHI WARAーHONJO生産の時計は 

数が非常に少なく　貴重

父さんの国には　たくさんの仲間が住んでいる

一人一人　父さんが　探し出して　この国に連れてきてくれた

もう他では　この国のようなところは　ないのかもしれない…

父さんが居たから　ボクたちは　生き延びれた

今までは　父さんが　護ってくれた…

父さん　77歳になった

いつまでも　護られるだけでなく　ボクたちも　頑張ろうと　思うんだ…

だから　だから　聞いてくれないかな

ボクたちの国の話

　とても素敵な　時の刻みの国の話

仲間みんな総出で　話すよ！

ボクたちは　時の申し子

刻む時がある限り　生き続ける

繋ぎ　渡し　遺るものが　どういうものか

見てきたよ

父さんの中に　いっぱいあるもの　だった…

よろしく、ね！

【ネジの話】

古時計のネジは　マイナス

今時のプラスではないため　マイナスネジを見つけた時は　修理用に取っておく

生まれたものには　役どころがあり

はまりどころがある

存在に　無駄　なんてない

それが　時に生きる　いのち　

《連絡先》

柱時計・オーディオ

「田中コレクション」館

館長　田中　仁（まさし）

〒436ー0029　静岡県　掛川市　南西郷　458ー７

たこまん掛川本館　２F *

Tel: 090ー7301ー9485 

※ 直接コンタクトしてくださって結構です。（ご本人希望）

【館長メッセージ】

「思い出深いレコードがあれば　是非持ってきて　

大音響で　楽しんで欲しい。」

＊　和洋菓子を製造販売する　『たこまん』のご厚意により、「たこまん掛川本店」２階に常設展示の「田中コレクション」館がOPEN

（文・編集：　前澤　祐貴子）

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