交流の広場
老成学研究所 > 時代への提言 > 核融合科学研究所&哲理人シリーズ > 核融合科学研究所&哲理人シリーズ 4⃣:(1) 『核融合』 世界におけるPosition Part ll
©︎Y.Maezawa
はじめに
本シリーズは、老成学研究所が核融合科学研究所と合意の上 ”核融合” という新しいエネルギー確保の道を多様な観点からご紹介・情報発信することを目的としている。
以下、掲載されている写真/画像群については、核融合科学研究所の許諾のもと、核融合科学研究所管理下の写真/画像群を*印を付して使用させていただいていることを予めお断りさせていただきたい。
No.4
核融合
『核融合』
Part Ⅱ :
世界におけるPOSITION
人は選ぶ
選択肢の中から 最良の道を 選ぶ
それは どんな対象においても成される 人の習性とも言える
©︎Y.Maezawa
選ぶ志向には 多種多様な基準・個性があっていい…
時には 選べない制限、枠、条件、環境もあるだろう…
しかし 裏を返せば そこに
複数多岐な選択肢は 確実に 担保されなければならない
唯一単独の領域には 選択という方法論はない
©︎Y.Maezawa
選択肢を創り出す側の 産みの苦しみに 思いを寄せることはあるだろうか?
一つの選択に値する領域を構築することは
選択する起点からしか関わることのない側には 想像し難い…
それは
人生を そこ にかけてきた時代の優たちの
苦悩、努力、そして 希望への確信が
集積し、渦となって 初めて成立する
( 画像:核融合科学研究所 提供)
核融合とは 新しい選択肢の領域であり
選ばれる選択肢として 名乗りをあげるべく産みの苦しみの中にある
20世紀中盤 産声をあげた核融合という分野において
現時点で 日本は 世界のトップレベルの立ち位置を確保し得ている
未来に進撃する人類が 新しいエネルギー源を模索するにあたり
その選択肢に 核融合 というカードがきれる刻は 迫っている
(画像: 核融合科学研究所 提供)
しかし
それは 一朝一夕で得られるスタンスではないこと を
私たち 選択肢を整えてもらえた者達は
噛みしめるべき かもしれない
©︎Y.Maezawa
選べる選択肢が 何故 自分の前に存在し得たのか を
振り返る時
そこに 優しくも賢い叡智をもった真人がいた からこそであることに
せめて 気づきたいものである
©︎Y.Maezawa
【第一部】
(画像:核融合科学研究所 提供)
核融合研究は、その黎明期より
国際協力の下に平和的に進められ、
今日、世界各国で幅広い研究が行われています。
核融合炉の実現に向けた
研究開発および学術基盤の充実のためには、
国内はもとより 世界の研究者の英知を結集して、
長期的展望に基づいた共同研究・開発
を進める必要があります。
核融合科学研究所では、
核融合に関する国際的な研究協力の
日本側の代表機関としての役割を担う
とともに、
国際協力による共同研究・研究交流
を積極的に推進しています。
(P.23 「NIFS 2021ー2022」抜粋)
国際協力
1)多国間協力
・ステラレータ・ヘリオトロン協定
日本
ドイツ
スペイン
米国
オーストラリア
ロシア
☆ヘリカル方式核融合研究の国際共同研究ネットワーク
国際エネルギー機関においては、多国間・多研究機関間で ステラレータ・ヘリオトロンが締結されています。
本協定には、
日本をはじめ オーストラリア、ヨーロッパ連合、ロシア、ウクライナ、米国
が参画しています。
その中でも日本は
副議長を核融合科学研究所所長が務める
など主導的な責任を果たしています。
本協定を基盤として LHDをはじめとした世界各地のヘリカル方式核融合研究の
国際共同研究ネットワーク を構築 し、
共同実験の遂行 や
実験データベースの拡充、
共同理論解析などを促進
しています。
それぞれの実験装置での発見や理論解析を 実験装置の違いを超えて 体系化する取り組みが組織的に展開され、研究の進展に大きな役割を果たしています。
・PWI協定
日本
米国
オーストラリア
ユーラトム : 欧州原子力共同体
・球状トーラス協定
日本
米国
ユートラム : 欧州原子力共同体
韓国
等
2)二国間協力
・日米科学技術協力事業
☆核融合炉材料の照射実験:
日米科学技術協力の共同プロジェクトの一環として、オークリッジ国立研究所(ORNL)の高中性子束炉 HFIR を用いた材料照射試験を行っています。
これまで
変動する温度の下での照射 や
照射下での電気抵抗のその場測定、
液体リチウム雰囲気における照射、
超高温度の下での照射
などの技術開発を共同で進め、特徴ある材料照射研究を進めてきています。
2013年(平成25年)開始の PHENIX計画では
プラズマ対向材としてのタングステン合金の中性子照射試験、
中性子照射材の熱負荷試験や
トリチウム吸蔵試験
などを行っています。
・日韓核融合協力事業
・日中科学技術協力事業
・日露
・日豪
・日EU
等
3)研究所間協力
【32機関*との学術交流協定】
中国 5機関
ドイツ 2機関
ロシア 3機関
ウクライナ 1機関
オーストラリア 1機関
韓国 1機関
米国 6機関
フランス 3機関
スペイン 1機関
オランダ 1機関
イタリア 2機関
チェコ 1機関
タイ 2機関
ポーランド 1機関
セルビア 1機関
国際熱核融合実験炉
ITER 1機関
* 第二部にて詳しく取り上げます。
4)国際会議開催:国際土岐コンファレンス 等
現在、
世界的な国際協力で進められている
国際熱核融合実験炉(ITER)計画
あるいは 幅広いアプローチ(BA)計画においては、
・国際トカマク物理活動(ITPA)への貢献
・超伝導、加熱、燃料供給装置などでの技術開発協力・人材派遣
まで 幅広い国際研究協力が行われています。
(P.22−23: 「NIFS 2021−2022」抜粋)
【第二部】
©︎Y.Maezawa
データとは
その切口によって
様々なことを示唆する
第二部にて詳しく取り上げるとした以下の 『第一部 「3)研究所間協力 *32機関」』について 考察する。
3)研究所間協力:
32機関*との学術交流協定
中国 5機関
ドイツ 2機関
ロシア 3機関
ウクライナ 1機関
オーストラリア 1機関
韓国 1機関
米国 6機関
フランス 3機関
スペイン 1機関
オランダ 1機関
イタリア 2機関
チェコ 1機関
タイ 2機関
ポーランド 1機関
セルビア 1機関
国際熱核融合実験炉
ITER 1機関
参考とさせていただいている「NIFS 2021ー2022」P.20 には 当該32機関について以下の内容が一覧表にて纏められている。
※記述は 国名、(該当研究)機関名、(その英語略称)、(学術)協定締結年の順である。
中国 中国科学院 等離子体 物理研究所 ASIPP 1992
中国 西南物理研究院 SWIP 2012
中国 北京大学 2017
中国 西南交通大学 SWJTU 2017
中国 華中科技大学 HUST 2018
ドイツ マックス・ブランク・プラズマ 物理研究所 IPP 1993
ドイツ カールスルーエ工科大学 KIT 2005
ロシア ロシア科学センター クルチャトフ研究所 KI 1993
ロシア ロシア科学アカデミー 一般物理研究所 GPI 2007
ロシア サンクトペテルブルク工科大学 2017
ウクライナ ウクライナ科学センター ハリコフ物理工学研究所 KIPT 1994
オーストラリア オーストラリア国立大学 ANU 1995
韓国 韓国 核融合研究所 NFRI 1996
米国 プリンストン プラズマ物理研究所 PPPL 2006
米国 オークリッジ国立研究所 ORNL 2006
米国 テキサス大学オースチン校 IFS 2006
米国 カリフォルニア大学ロサンジェルス校 エネルギー科学技術先進研究センター UCLA 2006
米国 ウィスコンシン大学 マディソン校 工学部 2016
米国 オーバーン大学 理数学部 AUCSM 2019
フランス エクス・マルセイユ大学 AMU 2007
フランス 原子力・代替エネルギー庁 CEA 2015
フランス 日仏ITER物理のための基礎プラズマ研究 国際連携研究所 CIEMAT 2019
スペイン スペイン国立エネルギー環境科学技術研究センター CIEMAT 2009
オランダ オランダ基礎エネルギー 研究所 FOM DIFFER 2011
イタリア 電離ガス研究所 IGI 2015
イタリア RFXコンソーシアム 2015
チェコ チェコ科学アカデミー HiLASEセンター 2016
タイ チェンマイ大学 2016
タイ タイ国家原子力技術研究所 TINT 2016
ポーランド プラズマ物理・レーザーマイクロ核融合研究所 IPPLM 2017
セルビア ベオグラード大学 2019
国際熱核融合実験炉 ITER 2011
《A》布石
上記データを国別に並び替える。
核融合分野に参戦する各国のスタートと未来投資への意気込みが読み取れる。
中国
1992年 中国科学院 等離子体 物理研究所 ASIPP
2012年 中国西南物理研究所 SWIP
2017年 北京大学
2017年 西南交通大学 SWJTU
2018年 華中科技大学 HUST
ドイツ
1993年 マックス・ブランク・プラズマ 物理研究所 IPP
2005年 カールスルーエ工科大学 KIT
ロシア
1993年 ロシア科学センター クルチャトフ研究所 KI
2007年 ロシア科学アカデミー 一般物理研究所 GPI
2017年 サンクトペテルブルク工科大学
ウクライナ
1994年 ウクライナ科学センター ハリコフ物理工学研究所 KIPT
オーストラリア
1995年 オーストラリア国立大学 ANU
韓国
1996年 韓国 核融合研究所 NFRI
米国
2006年 プリンストン プラズマ物理研究所 PPPL
2006年 オークリッジ国立研究所 ORNL
2006年 テキサス大学オースチン校 IFS
2006年 カリフォルニア大学ロサンジェルス校 エネルギー科学技術先進研究センター UCLA
2016年 ウィスコンシン大学 マディソン校 工学部
2019年 オーバーン大学理数学部 AUCSM
フランス
2007年 エクス・マルセイユ大学 AMU
2015年 原子力・代替エネルギー庁 CEA
2019年 日仏ITER物理のための基礎プラズマ研究
国際連携研究所 CIEMAT
スペイン
2009年 スペイン国立エネルギー環境科学技術研究センター CIEMAT
オランダ
2011年 オランダ基礎エネルギー 研究所 FOM DIFFER
イタリア
2015年 電離ガス研究所 IGI
2015年 RFXコンソーシアム
チェコ
2016年 チェコ科学アカデミー HiLASEセンター
タイ
2016年 チェンマイ大学
2016年 タイ国家原子力技術研究所 TINT
ポーランド
2017年 プラズマ物理・レーザーマイクロ核融合研究所 IPPLM
セルビア
2019年 ベオグラード大学
2011年 国際熱核融合実験炉 ITER
《B》時代読み
近未来エネルギー問題を睨んでの核融合分野への参画はヒートアップしてきている。
その動向を年代順に並べ替える。
1992年 中国 中国科学院 等離子体 物理研究所 ASIPP
1993年 ドイツ マックス・ブランク・プラズマ 物理研究所 IPP
1993年 ロシア ロシア科学センター クルチャトフ研究所 KI
1994年 ウクライナ ウクライナ科学センター ハリコフ物理工学研究所KIPT
1995年 オーストラリア オーストラリア国立大学 ANU
1996年 韓国 韓国 核融合研究所 NFRI
2005年 ドイツ カールスルーエ工科大学 KIT
2006年 米国 プリンストン プラズマ物理研究所 PPPL
2006年 米国 オークリッジ国立研究所 ORNL
2006年 米国テキサス大学 オースチン校 IFS
2006年 米国 カリフォルニア大学ロサンジェルス校 エネルギー科学技術先進研究センター UCLA
2007年 フランス エクス・マルセイユ大学 AMU
2007年 ロシア ロシア科学アカデミー 一般物理研究所 GPI
2009年 スペイン スペイン国立エネルギー環境科学技術研究センター CIEMAT
2011年 国際熱核融合実験炉 ITER
2011年 オランダ オランダ基礎エネルギー 研究所 FOM DIFFER
2012年 中国 西南物理研究院 SWIP
2015年 フランス 原子力・代替エネルギー庁 CEA
2015年 イタリア 電離ガス研究所 IGI
2015年 イタリア RFXコンソーシアム
2016年 米国 ウィスコンシン大学 マディソン校 工学部
2016年 チェコ チェコ科学アカデミー HiLASEセンター
2016年 タイ チェンマイ大学
2016年 タイ タイ国家原子力技術研究所 TINT
2017年 中国 北京大学
2017年 中国 西南交通大学 SWJTU
2017年 ロシア サンクトペテルブルク工科大学
2017年 ポーランド プラズマ物理・レーザーマイクロ核融合研究所 IPPLM
2018年 中国 華中科技大学 HUST
2019年 セルビア ベオグラード大学
2019年 フランス 日仏ITER物理のための基礎プラズマ研究 国際連携研究所 CIEMAT
2019年 米国 オーバーン大学 理数学部 AUCSM
《C》世界の核融合研究
今や、 核融合の研究は目新しいものではなく、
世界中で注目され、
先頭争いが繰り拡げられている
と言っても過言ない。
(P.05ー06:「未来をつくるエネルギー 核融合」2016 08 参照)
現在 核融合に関連するデータを実験・計測し得る核融合装置は
世界規模では以下のように 展開されている。
*以下の表記法: 国名、研究機関名、装置名、装置方式
〈ヨーロッパ〉
・イギリス
カラム研究所
JET
トカマク方式
・スイス
スイス連邦工科大学 ローザンヌ校
TCV
トカマク方式
・フランス
フランス原子力庁
WEST
トカマク方式
・スペイン
エネルギー環境科学技術センター CIEMAT
TJ-Ⅱ
ヘリカル方式
・ドイツ
マックス・プランク・プラズマ物理研究所
W7ーX
ヘリカル方式
・ドイツ
マックス・プランク・プラズマ物理研究所 IPP
ASDEX-U
トカマク方式
・イタリア
RFXコンソーシアム
RFX
トカマク方式
・イタリア
フラスカティ研究所
FTU
トカマク方式
・ロシア
クルチャトフ研究所
T-15
トカマク方式
・米国
ローレンス・リバモア国立研究所
NIF
レーザー方式
・米国
プリンストン プラズマ物理研究所
NSTX-U
トカマク方式
・米国
ジェネラル・アトミック社
DⅢーD
トカマク方式
・韓国
韓国核融合研究所 NFRI
KSTAR
トカマク方式
・中国
等離子体物理研究所 ASIPP
EAST
トカマク方式
・オーストラリア
オーストラリア国立大学 ANU
H-1NF Heliac
ヘリカル方式
・日本
核融合科学研究所
LHD
ヘリカル方式
・日本
九州大学応用力学研究所
QUEST
トカマク方式
・日本
大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター
激光Ⅻ号
レーザー方式
・日本
京都大学エネルギー理工学研究所
Heliotron J
ヘリカル方式
・日本
筑波大学プラズマ研究センター
ガンマ10
ミラー方式
・日本
量子科学技術研究開発機構
JT-60SA (建設中)
トカマク方式
・共同
ITER機構:
欧、日、米、中、韓、印、露 の7極が協力して、フランス南東部のサン・ポール・レ・デュランス市に建設しているITER(イーター)という実験炉は、LHDとは異なったトカマク方式で設計されています。
ITER (建設中)
トカマク方式
【語句説明】
〜核融合の実現を目指す様々な方法〜
ヘリカル方式:
コイルをらせん状にひねって ドーナツ型の磁場を作り、プラズマを容器に閉じ込めます。
トカマク方式:
プラズマ中に電流を流すことでドーナツ型の磁場を作り、プラズマを容器に閉じ込めます。
レーザー方式:
強力なレーザーを使って 超高密度の状態を作ります。
©︎Y.Maezawa
核融合が
理論から実験を経て
実現、実践に向かう道には、
才能、努力、技術、資金、時間…
時代の総力が求められる。
その第一群で日本が先導者として走っている今、
目標から目を背けるわけにはいかない。
さあ
走り続け
走り抜き
走り切れ
©︎Y.Maezawa
* より詳しい情報に関しましては、是非 下記『核融合科学研究所ホームページ』をご覧ください。
URL : https://www.nifs.ac.jp/
(文・写真・編集:前澤 祐貴子)
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