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核融合科学研究所&哲理人シリーズ 4⃣:(1) 『核融合』 世界におけるPosition   Part ll
時代への提言 | 2021.11.29


©︎Y.Maezawa

はじめに

本シリーズは、老成学研究所が核融合科学研究所と合意の上 ”核融合” という新しいエネルギー確保の道を多様な観点からご紹介・情報発信することを目的としている。

以下、掲載されている写真/画像群については、核融合科学研究所の許諾のもと、核融合科学研究所管理下の写真/画像群を*印を付して使用させていただいていることを予めお断りさせていただきたい。

No.4

核融合

『核融合』

Part Ⅱ :

世界におけるPOSITION 

人は選ぶ

選択肢の中から 最良の道を 選ぶ

それは どんな対象においても成される 人の習性とも言える

©︎Y.Maezawa

選ぶ志向には 多種多様な基準・個性があっていい…

時には 選べない制限、枠、条件、環境もあるだろう…

しかし 裏を返せば そこに

複数多岐な選択肢は 確実に 担保されなければならない

唯一単独の領域には 選択という方法論はない

©︎Y.Maezawa

選択肢を創り出す側の 産みの苦しみに 思いを寄せることはあるだろうか?

一つの選択に値する領域を構築することは

選択する起点からしか関わることのない側には 想像し難い… 

それは 

人生を そこ にかけてきた時代の優たちの

苦悩、努力、そして 希望への確信が

集積し、渦となって 初めて成立する

( 画像:核融合科学研究所 提供)

核融合とは 新しい選択肢の領域であり

選ばれる選択肢として 名乗りをあげるべく産みの苦しみの中にある

20世紀中盤 産声をあげた核融合という分野において 

現時点で 日本は 世界のトップレベルの立ち位置を確保し得ている

未来に進撃する人類が 新しいエネルギー源を模索するにあたり

その選択肢に 核融合 というカードがきれる刻は 迫っている

(画像: 核融合科学研究所 提供)

しかし

それは 一朝一夕で得られるスタンスではないこと を

私たち 選択肢を整えてもらえた者達は

噛みしめるべき かもしれない

©︎Y.Maezawa


選べる選択肢が  何故 自分の前に存在し得たのか を

振り返る時

そこに 優しくも賢い叡智をもった真人がいた からこそであることに

せめて 気づきたいものである


©︎Y.Maezawa

【第一部】

(画像:核融合科学研究所 提供)


核融合研究は、その黎明期より

国際協力の下に平和的に進められ、

今日、世界各国で幅広い研究が行われています。

核融合炉の実現に向けた

研究開発および学術基盤の充実のためには、

国内はもとより 世界の研究者の英知を結集して、

長期的展望に基づいた共同研究・開発

を進める必要があります。

核融合科学研究所では、

核融合に関する国際的な研究協力の

日本側の代表機関としての役割を担う

とともに、

国際協力による共同研究・研究交流

を積極的に推進しています。

(P.23 「NIFS 2021ー2022」抜粋)

国際協力

1)多国間協力

ステラレータ・ヘリオトロン協定

日本

ドイツ

スペイン

米国

オーストラリア

ロシア

ヘリカル方式核融合研究の国際共同研究ネットワーク

国際エネルギー機関においては、多国間・多研究機関間で ステラレータ・ヘリオトロンが締結されています。

本協定には、

日本をはじめ オーストラリア、ヨーロッパ連合、ロシア、ウクライナ、米国

が参画しています。

その中でも日本は 

副議長を核融合科学研究所所長が務める

など主導的な責任を果たしています。

本協定を基盤として LHDをはじめとした世界各地のヘリカル方式核融合研究の 

国際共同研究ネットワーク を構築 し、

共同実験の遂行 や

実験データベースの拡充、

共同理論解析などを促進

しています。

それぞれの実験装置での発見や理論解析を 実験装置の違いを超えて 体系化する取り組みが組織的に展開され、研究の進展に大きな役割を果たしています。

PWI協定

日本

米国

オーストラリア

ユーラトム : 欧州原子力共同体

球状トーラス協定

日本

米国

ユートラム : 欧州原子力共同体

韓国

2)二国間協力

日米科学技術協力事業

☆核融合炉材料の照射実験:

日米科学技術協力の共同プロジェクトの一環として、オークリッジ国立研究所(ORNL)の高中性子束炉 HFIR を用いた材料照射試験を行っています。

これまで 

変動する温度の下での照射 や 

照射下での電気抵抗のその場測定、

液体リチウム雰囲気における照射、

超高温度の下での照射

などの技術開発を共同で進め、特徴ある材料照射研究を進めてきています。

2013年(平成25年)開始の PHENIX計画では 

プラズマ対向材としてのタングステン合金の中性子照射試験、

中性子照射材の熱負荷試験や

トリチウム吸蔵試験

などを行っています。

日韓核融合協力事業

日中科学技術協力事業

・日露

・日豪

・日EU

3)研究所間協力

【32機関*との学術交流協定】

中国        5機関

ドイツ       2機関

ロシア       3機関

ウクライナ     1機関

オーストラリア   1機関

韓国        1機関

米国        6機関

フランス      3機関

スペイン      1機関

オランダ      1機関

イタリア      2機関

チェコ       1機関

タイ        2機関

ポーランド     1機関

セルビア      1機関

国際熱核融合実験炉 

ITER        1機関

       

* 第二部にて詳しく取り上げます。

4)国際会議開催:国際土岐コンファレンス 等

現在、

世界的な国際協力で進められている

国際熱核融合実験炉(ITER)計画

あるいは 幅広いアプローチ(BA)計画においては、

・国際トカマク物理活動(ITPA)への貢献

・超伝導、加熱、燃料供給装置などでの技術開発協力・人材派遣

まで 幅広い国際研究協力が行われています。

(P.22−23: 「NIFS 2021−2022」抜粋)

【第二部】

©︎Y.Maezawa

データとは 

その切口によって 

様々なことを示唆する

第二部にて詳しく取り上げるとした以下の 『第一部 「3)研究所間協力 *32機関」』について 考察する。

3)研究所間協力:

32機関*との学術交流協定

中国        5機関

ドイツ       2機関

ロシア       3機関

ウクライナ     1機関

オーストラリア   1機関

韓国        1機関

米国        6機関

フランス      3機関

スペイン      1機関

オランダ      1機関

イタリア      2機関

チェコ       1機関

タイ        2機関

ポーランド     1機関

セルビア      1機関

国際熱核融合実験炉 

ITER        1機関

参考とさせていただいている「NIFS 2021ー2022」P.20 には 当該32機関について以下の内容が一覧表にて纏められている。

※記述は 国名、(該当研究)機関名、(その英語略称)、(学術)協定締結年の順である。

中国  中国科学院 等離子体 物理研究所  ASIPP  1992 

中国  西南物理研究院 SWIP 2012

中国  北京大学  2017  

中国  西南交通大学  SWJTU  2017

中国  華中科技大学  HUST   2018

ドイツ  マックス・ブランク・プラズマ 物理研究所  IPP  1993

ドイツ  カールスルーエ工科大学  KIT  2005

ロシア  ロシア科学センター クルチャトフ研究所  KI  1993

ロシア  ロシア科学アカデミー 一般物理研究所  GPI  2007

ロシア  サンクトペテルブルク工科大学  2017

ウクライナ  ウクライナ科学センター  ハリコフ物理工学研究所  KIPT  1994

オーストラリア  オーストラリア国立大学  ANU  1995

韓国  韓国 核融合研究所  NFRI  1996

米国  プリンストン プラズマ物理研究所  PPPL  2006

米国  オークリッジ国立研究所  ORNL  2006

米国  テキサス大学オースチン校  IFS  2006

米国  カリフォルニア大学ロサンジェルス校 エネルギー科学技術先進研究センター  UCLA  2006

米国  ウィスコンシン大学 マディソン校 工学部  2016

米国  オーバーン大学 理数学部  AUCSM  2019

フランス  エクス・マルセイユ大学  AMU  2007

フランス  原子力・代替エネルギー庁  CEA  2015

フランス  日仏ITER物理のための基礎プラズマ研究 国際連携研究所  CIEMAT   2019

スペイン  スペイン国立エネルギー環境科学技術研究センター  CIEMAT  2009

オランダ  オランダ基礎エネルギー 研究所  FOM DIFFER  2011

イタリア  電離ガス研究所  IGI  2015

イタリア  RFXコンソーシアム  2015

チェコ  チェコ科学アカデミー HiLASEセンター  2016

タイ  チェンマイ大学  2016

タイ  タイ国家原子力技術研究所  TINT 2016

ポーランド  プラズマ物理・レーザーマイクロ核融合研究所  IPPLM  2017

セルビア  ベオグラード大学  2019  

国際熱核融合実験炉  ITER  2011

《A》布石

 

上記データを国別に並び替える。

核融合分野に参戦する各国のスタートと未来投資への意気込みが読み取れる。

中国

1992年  中国科学院 等離子体 物理研究所  ASIPP

2012年  中国西南物理研究所  SWIP

2017年  北京大学

2017年  西南交通大学  SWJTU

2018年  華中科技大学  HUST

ドイツ

1993年  マックス・ブランク・プラズマ 物理研究所  IPP

2005年  カールスルーエ工科大学  KIT

ロシア

1993年  ロシア科学センター クルチャトフ研究所  KI

2007年  ロシア科学アカデミー 一般物理研究所  GPI

2017年  サンクトペテルブルク工科大学

ウクライナ

1994年  ウクライナ科学センター  ハリコフ物理工学研究所  KIPT

オーストラリア

1995年  オーストラリア国立大学  ANU

韓国

1996年  韓国 核融合研究所  NFRI

米国

2006年  プリンストン プラズマ物理研究所  PPPL

2006年  オークリッジ国立研究所  ORNL

2006年  テキサス大学オースチン校  IFS

2006年  カリフォルニア大学ロサンジェルス校 エネルギー科学技術先進研究センター  UCLA

2016年  ウィスコンシン大学 マディソン校 工学部

2019年  オーバーン大学理数学部  AUCSM

フランス

2007年  エクス・マルセイユ大学  AMU

2015年  原子力・代替エネルギー庁  CEA

2019年  日仏ITER物理のための基礎プラズマ研究 

     国際連携研究所     CIEMAT    

スペイン

2009年  スペイン国立エネルギー環境科学技術研究センター  CIEMAT

オランダ

2011年  オランダ基礎エネルギー 研究所  FOM DIFFER

イタリア

2015年 電離ガス研究所  IGI

2015年  RFXコンソーシアム

チェコ

2016年  チェコ科学アカデミー HiLASEセンター

タイ

2016年  チェンマイ大学

2016年  タイ国家原子力技術研究所  TINT

ポーランド

2017年  プラズマ物理・レーザーマイクロ核融合研究所  IPPLM

セルビア  

2019年  ベオグラード大学

2011年  国際熱核融合実験炉  ITER

《B》時代読み

近未来エネルギー問題を睨んでの核融合分野への参画はヒートアップしてきている。

その動向を年代順に並べ替える。

1992年  中国  中国科学院 等離子体 物理研究所  ASIPP

1993年  ドイツ  マックス・ブランク・プラズマ 物理研究所  IPP

1993年  ロシア  ロシア科学センター クルチャトフ研究所  KI

1994年  ウクライナ  ウクライナ科学センター  ハリコフ物理工学研究所KIPT

1995年  オーストラリア  オーストラリア国立大学  ANU

1996年  韓国  韓国 核融合研究所  NFRI

2005年  ドイツ  カールスルーエ工科大学  KIT

2006年  米国  プリンストン プラズマ物理研究所  PPPL

2006年  米国  オークリッジ国立研究所  ORNL

2006年  米国テキサス大学 オースチン校  IFS

2006年  米国  カリフォルニア大学ロサンジェルス校 エネルギー科学技術先進研究センター  UCLA

2007年  フランス  エクス・マルセイユ大学  AMU

2007年  ロシア  ロシア科学アカデミー 一般物理研究所  GPI

2009年  スペイン  スペイン国立エネルギー環境科学技術研究センター    CIEMAT

2011年  国際熱核融合実験炉  ITER

2011年  オランダ  オランダ基礎エネルギー 研究所  FOM DIFFER

2012年  中国  西南物理研究院  SWIP

2015年  フランス  原子力・代替エネルギー庁  CEA

2015年  イタリア  電離ガス研究所  IGI

2015年  イタリア  RFXコンソーシアム

2016年  米国  ウィスコンシン大学 マディソン校 工学部

2016年  チェコ  チェコ科学アカデミー HiLASEセンター

2016年  タイ  チェンマイ大学

2016年  タイ  タイ国家原子力技術研究所  TINT

2017年  中国  北京大学

2017年  中国  西南交通大学  SWJTU

2017年  ロシア  サンクトペテルブルク工科大学

2017年  ポーランド  プラズマ物理・レーザーマイクロ核融合研究所     IPPLM

2018年  中国  華中科技大学  HUST

2019年  セルビア  ベオグラード大学

2019年  フランス  日仏ITER物理のための基礎プラズマ研究 国際連携研究所  CIEMAT

2019年  米国  オーバーン大学 理数学部  AUCSM

《C》世界の核融合研究

今や、 核融合の研究は目新しいものではなく、

世界中で注目され、

先頭争いが繰り拡げられている

と言っても過言ない。

(P.05ー06:「未来をつくるエネルギー 核融合」2016 08 参照) 

現在 核融合に関連するデータを実験・計測し得る核融合装置は 

世界規模では以下のように 展開されている。

*以下の表記法: 国名、研究機関名、装置名、装置方式

〈ヨーロッパ〉

・イギリス

カラム研究所  

JET

トカマク方式

・スイス

スイス連邦工科大学 ローザンヌ校

TCV

トカマク方式

・フランス

フランス原子力庁

WEST

トカマク方式

・スペイン

エネルギー環境科学技術センター CIEMAT

TJ-Ⅱ

ヘリカル方式

・ドイツ

マックス・プランク・プラズマ物理研究所

W7ーX

ヘリカル方式

・ドイツ

マックス・プランク・プラズマ物理研究所 IPP

ASDEX-U

トカマク方式

・イタリア

RFXコンソーシアム

RFX

トカマク方式

・イタリア

フラスカティ研究所

FTU

トカマク方式

・ロシア

クルチャトフ研究所

T-15

トカマク方式

・米国

ローレンス・リバモア国立研究所

NIF

レーザー方式

・米国

プリンストン プラズマ物理研究所

NSTX-U

トカマク方式

・米国

ジェネラル・アトミック社

DⅢーD

トカマク方式

・韓国

韓国核融合研究所 NFRI

KSTAR

トカマク方式

・中国

等離子体物理研究所 ASIPP

EAST

トカマク方式

・オーストラリア

オーストラリア国立大学 ANU

H-1NF Heliac

ヘリカル方式

日本

核融合科学研究所

LHD

ヘリカル方式

日本

九州大学応用力学研究所

QUEST

トカマク方式

日本

大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター

激光Ⅻ号

レーザー方式

日本

京都大学エネルギー理工学研究所

Heliotron J

ヘリカル方式

日本

筑波大学プラズマ研究センター

ガンマ10

ミラー方式

日本

量子科学技術研究開発機構

JT-60SA  (建設中)

トカマク方式

・共同

ITER機構:

欧、日、米、中、韓、印、露 の7極が協力して、フランス南東部のサン・ポール・レ・デュランス市に建設しているITER(イーター)という実験炉は、LHDとは異なったトカマク方式で設計されています。

ITER (建設中)

トカマク方式

【語句説明】

〜核融合の実現を目指す様々な方法〜

ヘリカル方式:

コイルをらせん状にひねって ドーナツ型の磁場を作り、プラズマを容器に閉じ込めます。

トカマク方式:

プラズマ中に電流を流すことでドーナツ型の磁場を作り、プラズマを容器に閉じ込めます。

レーザー方式:

強力なレーザーを使って 超高密度の状態を作ります。


©︎Y.Maezawa

核融合が 

理論から実験を経て

実現、実践に向かう道には、

才能、努力、技術、資金、時間…

時代の総力が求められる。

その第一群で日本が先導者として走っている今、

目標から目を背けるわけにはいかない。

さあ

走り続け

走り抜き

走り切れ

©︎Y.Maezawa


* より詳しい情報に関しましては、是非 下記『核融合科学研究所ホームページ』をご覧ください。

URL : https://www.nifs.ac.jp/

(文・写真・編集:前澤 祐貴子)


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