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久保田進一の「楽しんでる?」シリーズ ① 映画:『シャイニング』を観て
時代への提言 | 2021.09.08

©︎Y.Maezawa

久保田進一

「楽しんでる?」シリーズ

 ①

映画『シャイニング』を観て

  久保田 進一


 先日、映画『シャイニング』を観てきました。この映画は、1980年に公開された映画で、今から41年前の作品です。もちろん、当時は私、お子ちゃまでしたので、映画館では観ておりません。DVDでは、何回か見ましたが、改めてスクリーンで観てきました。いろいろな発見がありました。現在、<午前十時の映画祭>というものをやっておりまして、昔の映画をデジタルリマスターにして上映してくれているのです。いい時代になりました。

 そこで、改めて『シャイニング』を観ました。もともとは、スティーブン・キングの小説が原作です。ただ、映画の製作にあたって監督をしたのは、『2001年宇宙の旅』をはじめとする様々な話題作を手がけたスタンリー・キューブリック監督です。当然、原作通りではなく、幾らかのヒネリがあるわけです。そのため、原作者のキングとも対立があったようです。そもそも、『シャイニング』は、タイトルにあるようにShining(輝き)であり、子供のダニーがシャイニングという超能力を使って、悪霊に取り憑かれた父親と戦うのが本来の話だったのが、それが、キューブリックにかかるとジャック・ニコルソンの狂気に満ちて、家族を殺害しようとするホラー映画となってしまったのです。映画では、最初の方にシャイニングの話が出てきますが、その後は、あまりシャイニングは活用されていません。まあ、原作者のキングにしてみたら、「ち・が・う・だ・ろ・ー」と言いたくなるのも無理はありません。もちろん、大筋は原作に従っていますが、所々、違うところが出てくるのです。

©︎Y.Maezawa

 さて、この『シャイニング』は、何と言ってもジャック・ニコルソンの狂気ぶりが見ものです。斧を持って、ドアを壊し、壊れたドアの隙間から部屋の中を覗くシーンは、ポスターにもなり、DVDやBlu-ray の表紙にも使われています。あまり、内容を言ってしまうと、ネタバレになりますので、この辺りでやめときましょう。

 ただ、この映画は過去の映画からの影響も受けております。サスペンス映画として有名なヒッチコック監督の『サイコ』のシャワー・シーンで女性が刺殺される時に、使われるあの有名な音楽が『シャイニング』でも使われております。まさに、人が殺されそうな時にかかる音楽として鬼気(危機)迫るものを感じますね。

 この映画は、後の映画にも影響を与えております。直接的には、子供のダニーが大人になった後の話として、原作者のキングが『ドクター・スリープ』という続編を2013年に発表しました。映画『シャイニング』の公開から33年経っています。もうすでに、キューブリック監督は亡くなっています。そして、この作品は、映画の続編としても、映画『ドクター・スリープ』として、2019年に公開されています。大人になったダニーはユアン・マクレガーが演じています。この作品は、まさにシャイニングが使われています。評論家の間では概ねいい評価を与えられているのですが、ただ、興行的には期待したほどの成功は収めていないみたいです。さすがに、続編が33年経ち、監督がキューブリックではないと厳しかったかなと思います。まあ、キューブリックが監督だと、また原作とは異なるシナリオになってしまうのかもしれません。そうなると、原作者のキングとまた対立が起きそうです。

 それから、キューブリックとも交友のあったスピルバーグ監督は、『シャイニング』のシーンを2018年に公開した映画『レディ・プレイヤー1』に登場させています。『レディ・プレイヤー1』には、さまざまな映画のシーンが登場してきますので、かなり映画を見ている人でないと「あっ、このシーンは、あの映画だ!」という驚きをもてないかもしれません。かなりの予習が必要なのではないかと思います。今回はこの辺で終わりにしたいと思います。

©︎Y.Maezawa

さいなら、さいなら、さいなら。

(編集:前澤 祐貴子)


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