老成学について

2018年 一般社団法人 老成学研究所創設時に掲げた 「老成学」に関する簡略な説明。

人はたいてい老人になる。人生100年の後半の50年はいかにも長い。
老い方を組み立てるには「成りたい老人」のイメージが必要だ。
しかも、このイメージは人生後半だけにとどまらず、前半を含めて人生全体を組み立てる上でも重要である。
とはいえ、「成りたい老人」を描くことは容易ではない。
なぜなら、21世紀の日本は、人口減少への対応や、デジタル化の推進、環境に配慮した経済への転換、
世代間で不公平な社会保障の改革といった課題を抱えているからだ。
その限り、これらの時代の課題を引き受けることが「21世紀にふさわしい老人」の条件になる。
この条件を探求するプロジェクトが老成学である。
「21世紀老人」とは現時点の老人だけではなく、中高年や若者のあなたでもある。

3つのポイント
人口減少

2021年現在、日本の人口は約1億2500万人。

2065年は約8800万人、2100年に約5000万人、そして2200年には約1000万人となる。これは現在のスウェーデン並み、徳川時代初期の水準と同じだ。

参考資料:河合雅司『未来の年表』講談社現代新書、2017年
 国立社会保障・人口問題研究所ホームページ
 厚生労働省ホームページ

社会保障

日本の社会保障は現役世代から老齢世代に仕送りするしくみ(賦課方式)をとる。保険料と公費を合わせた社会保障給付費は2021年予算で129.6兆円。社会保障給付費はGDP約550兆円の4分の1の規模だ。

保険料の不足分約60兆円は公費投入(ほぼ国債発行)で穴埋めされる。しかし、社会保障給付は毎年3〜4兆円増加し、累積借金は1500兆円を超える。祖父母世代と孫世代の給付格差は約1億円になる。ここに信じ難いほどの世代間不公平がある。

参考資料  鈴木亘『社会保障亡国論』講談社現代新書、2014年
財務省ホームページ「日本の財政を考える」

人生100年時代の老人の役割

老人の役割はいつの時代も、同世代の互助、若者世代の支援、自らの死の準備である。しかし、時代の課題がある。人口減少とデジタル化の中での経済縮小への対応や社会保障の改革などだ。それらを深刻に受け止めるなら老人の役割のかたちは変わらざるをえない。

必要なことは人生後半の50年を組み立てるために「21世紀にふさわしい成りたい老人」のイメージを持つことだ。さらにその目標も必要だ。それは最晩年期における老い方、つまり死の迎え方が担う。最期の生き方を目標にしてそれまでの50年をいかに老いるか。基本的な方向性は四つある。

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