お知らせ
この国
集合名詞は とかく難しい
国…
民…
角度は 錯綜
色は 混濁
形は 散開
この国を故郷とする民にとって
その実態は 何だろう
この国土で
美しい夫婦を見る…
郊外のベーカリー
お互いを気遣う 小さな「有難う」の掛け合い
並び座り 窓外の風景に目を細める
この国土で
美しい親子を見る…
90を超えると思しき老婆
初老の息子と ひなびたうどん屋に…
息子と過ごす ひとときへの嬉しさか
耳を傾ける息子に
自らの一日を話す声が止まらない
何気ない いつもの風景
日常に煌めく ほのかな美しさ
この国
この国土は
この国で培われた 素晴らしい国民一人一人で構成
ひとは 記憶を道標に 生きる
その記憶の基礎旋律を紡ぐのは
この国ならではの 豊かな国風、
この国の 質と深さ…
この国の時間の流れ、
歴史は
決してツギハギだらけのピースの寄せ集めではない
ひとは 記憶を道標に 生きる
その記憶の基礎旋律に
この国のメロディーは流れる
故郷である この国を
誇り 護り 次へ渡す 音楽が
重低音で奏でられる
(記: 前澤 祐貴子)