交流の広場
老成学研究所 > 時代への提言 > 『ART/ Photo Essay』 RYO NAKAMURA 11作品 > わらいにエールを
たどり着くやいなや、ひと息つく間もなく彼がまずおもむろに取り出したのは鮮やかなユニオンジャックだった。
ここは赤道の真下に浮かぶボルネオ島。
そんな熱帯雨林のジャングルにそびえ立つ、東南アジア最高峰キナバル山の頂点4,095mの場所である。
母国の旗を天に掲げる彼の表情は、たくましく誇らしげだ。
この英国人がここに立つに至った経緯も、ましてや彼がこれからどんな人生を歩むかなど知る由もない。
ただ、達成感に満ちたその満足気な笑顔を目の当たりにして、
この広い世界で、同じ瞬間、同じ目標を達成した見知らぬ彼のこれからの人生に静かにエールを送りたくなった。