交流の広場

老成学研究所 > 時代への提言 > 【〈柱時計・オーディオ〉田中コレクション館】シリーズ 田中仁 > 〈柱時計・オーディオ〉田中コレクション館シリーズ 《11》「分身」

〈柱時計・オーディオ〉田中コレクション館シリーズ 《11》「分身」
時代への提言 | 2025.09.24

©︎Y.Maezawa

何かが終わる

区切りがつく


には
一抹の哀しさと寂しさがつきまとう

©︎Y.Maezawa

それが

愛でたもの…
長らく共にいたもの…
価値と意味を持っていたもの…

©︎Y.Maezawa

そして

自らの心の拠り所であったならば
なおさら…である

©︎Y.Maezawa

田中コレクション館 田中 仁館長、

2025 06 09

79歳の誕生日に
60余年来の 共友たち との別れに踏みだした

自らの死の前に

皆に 新しい場を整えておく決意をした

終活 である

©︎Y.Maezawa

©︎Y.Maezawa

所有する共友たちは

古置時計 約300余台

時代もののオーディオセット群

円盤レコード 約8000枚

全て 約3ヶ月で 新しい行き先に分散させ、

飴色魔法空間であった皆のホームを返却する 

と 

長年 ご厚意で 場所(ホーム)を無償貸与してくださった たこまん会長に約束した

©︎Y.Maezawa

掛川たこまん本店2階に展開していた飴色魔法空間、

田中コレクション館は 閉館に歩を進めた

©︎Y.Maezawa

2025 08 26
田中コレクション館 完全閉館

約束は守った

この日

骨組みだけが残る大空間に 声がよく響いた

©︎Y.Maezawa

2025年6月から8月までの約3カ月間の閉館作業は 連日 ハードだった

考えることは

残された時間 と 共友たちの行き先の確保

そのことだけが この間 頭を占めた

観測史上 連日 記録を塗り替える猛暑下
共友たちは 譲渡、売却、取置 の3つの運命に振り分けられ 

一つまた一つと ホームから姿を消した

約束を守るため 日々 奮闘… 

感慨も感傷も 一旦 横に置いた

©︎Y.Maezawa

 全てが終わった時

力は 抜けた…かもしれない

毎日 通った道、

毎日 維持管理した空間、

毎日 座った椅子

もうこの秋からは…ない

©︎Y.Maezawa

この間 妻は そっと寄り添い 見守る

夫の年齢

場所はご厚意でお借りしている

膨大な数の コレクション

そろそろ 先の見通しを考える機である と感じていた

と同時に


この生き甲斐がいきなり消えることへの 

夫の心の持ちようにも 思いを馳せる…

これから また 最後の新しい形を模索し 

そっと添おう と心を配る

©︎Y.Maezawa

終活 とは

生きながら その先にある死を見据え 身辺整理をすることで

自らの足跡を消していく作業ともいえる

「迷惑をかけないように」という合言葉で 自らが生きた証を消していく

自らの足跡とは 無駄…だったのだろうか…
立つ鳥は後を濁さず ばかりなのだろうか…

ものと人の添い方、付き合い方は 多種多様、 それぞれ異なる

しかし

もの が ひと に代わる場合もあるのかもしれない

想いというフィルターをかけると 

ものは 人の代替を務める…

さて

今時の 終活ブーム

身辺整理…

立ち止まって考えるテーマもあるかもしれない

朽ちるまで 残存する妙…それも 味わい深いかもしれない

©︎Y.Maezawa

今後

田中コレクション館は 

ミニ田中コレクション館として 

規模を縮小し 継続することとなった

場所、システムは目下 調整中

©︎Y.Maezawa

特にお気に入りの 古時計 約100台とオーディオは

ミニ田中コレクション館に引き継がれる

全ては 離せなかった…


それでいい…かも

それがいい…かも

田中コレクション館シリーズは 規模を変え 続く…

©︎Y.Maezawa

ただ…

生涯 好きなものは好き!

コレクターは そうやすやすとやめられるものではない

コレクター人生に 終活は 似合わない…かもしれない

©︎Y.Maezawa


古時計愛好会:

会長 田中 仁

浜松市東区小池町2543−4 浜松骨董市場

053−465−3666

(記: 前澤 祐貴子)

* 作品に対するご意見・ご感想など 是非 下記コメント欄にお寄せください。

尚、当サイトはプライバシーポリシーに則り運営されており、抵触する案件につきましては適切な対応を取らせていただきます。

  • 寺川 進 : 2025.09.28 11:15 PM

    コレクションを処分されたとのこと。よく決断されたと感心いたしました。普通は、遺産として残され、自然に流されて消えていく例が多いのでしょうが、ご自身で始末を付けられるということは、なかなか、できないことと想像いたします。巨大なコレクション、共友と呼んで、生きている友のように付き合われたのですね。お手許に残された厳選品への愛着を、時間ができたら、この老成学研究所にて、ご紹介下さるとよいのかもしれません。田中さんの共友への思い入れが、言葉として永く残されることを期待します。言葉や思いは大きな空間を占拠しませんので。

    コレクションはとても人間的な行為だと思います。生き物そのものが、宇宙の大法則に逆らう存在とも言える中で、人はその生きる力を使ってコレクションを目指します。私も、ほんの少し、貝殻の位相幾何学的な美に魅せられて、化石の永続的存在感に魅せられて、コレクションをしました。田中さんのもののような膨大なものではなく、ほんのお印のようなものです。79歳の今もソファーの前のコーヒーテーブルの中に入れてあり、ガラス天板を通して見られるようにしてあります。足をテーブルに乗せて飲むコーヒーは、7つの海と7億年の時を伝える味がします。捨てられません。コレクションの価値は無限です。それはエントロピー増大則に反する秘密の行為なのでしょう。

    田中さんのお噂は前から伺っておりました。新たに、ミニコレクション館を開かれるとのこと。お近くになったようで、出かけて行きたいとも思っています。

 
一覧へ戻る
© 老レ成 AGELIVE. All Rights Reserved.