交流の広場

老成学研究所 > 時代への提言 > 『今、国学の呼びかけるもの』シリーズ > 『今、国学の呼びかけるもの』 シリーズ ⑦ その1:「いろは順 から あいうえお… 五十音順への移行」

『今、国学の呼びかけるもの』 シリーズ ⑦ その1:「いろは順 から あいうえお… 五十音順への移行」
時代への提言 | 2022.03.09

©︎Y.Maezawa

賀茂真淵たち国学者の日本語研究

いろは順 から あいうえお…

五十音順への移行

賀茂真淵著「語意考」当館所蔵本:寺田泰政氏寄贈 

江戸時代後半の文化文政の頃(およそ200年前)から、

多くのかなづかいの書が出版され、

折り本や三ツ切本といった小型で歌会などに携帯し参照する 

といった本も 広まりました。

そして、文字を調べるにあたっての語句の配列が「いろは」順からあいうえお…の「五十音」順になっていきます。この五十音順の普及には、賀茂真淵をはじめとする国学者たちの日本語研究が大きくかかわっていました。

五十音表の普及と国学者

今日おなじみの「あいうえお」の五十音は、中世以降の音韻の研究にともなって形づくられ、仏教の梵字(ぼんじ)を学ぶ中で、梵字の発音に関係したものでした。

それを、江戸時代になって、真言宗の僧であった契沖(けいちゅう)が、同母音を横に、同子音を縦に並べて「五十音表」を考案し、著書「和字正濫鈔(わじしょうらんしょう)」に掲載しました。

語意考に掲載された五十音表「五十聯音」(いつらのこゑ) 

この画期的な研究を継承した賀茂真淵(かものまぶち)は、

最晩年に出版した日本語研究の著書「語意考」において

五十聯音(いつらのこゑ)』と名付けた五十音表を紹介し、

語句の活用も説明しました。

こうして、五十音表が国語研究の世界に広まっていきました。

©︎Y.Maezawa


◆真淵以後の国語研究

真淵の五十音表は万葉仮名で表記されていましたが、弟子の楫取魚彦(かとりなひこ)が、著書「古言梯(こげんてい)」で、かな表記の五十音表を発表します。

さらに、本居宣長(もとおりのりなが)が、真淵の表では「お」がワ行、「を」がア行に属していたのを改めます

こうした国学者たちの日本語研究により歴史的仮名遣いの表記の基礎が確定し、文化文政以降、冒頭に記したように多くの五十音順に基づくかなづかいの書が出版されていきました。

明治以降、小学校で国語の時間に「あいうえお、かきくけこ…」と五十音で子どもたちが学ぶ国語の授業の光景は、これら江戸期の研究をふまえた仮名表記に従って形づくられたものだったのです。

そもそも「いろはにほへと…」は、仏教的無常感を詠んだもので、その配列には母音子音の関係はありません。真淵をはじめとする国学者が研究し広めた五十音表に代表される仮名表記は、語の活用に深くかかわる母音子音を整理したもので、国語を正していったものといえます。

©︎Y.Maezawa

* より詳細な情報をお求めの方は是非 下記 浜松市立賀茂真淵記念館アカウントにアクセスくださいませ。

©︎Y.Maezawa

浜松市立賀茂真淵記念館 

URL: http://www.mabuchi-kinenkan.jp

※ 尚、当シリーズにおきましては、賀茂真淵に関連する資料/画像、及び内容解説に至るまで 浜松市立賀茂真淵記念館(一般社団法人 浜松史蹟調査顕彰会)の許可とご協力のもと、展開させていただく運びとなります。

この場をお借り致しまして その多大なるご尽力に感謝申し上げます。

(編集:前澤 祐貴子)

* 作品に対するご意見・ご感想など是非下記コメント欄ににお寄せくださいませ。

尚、当サイトはプライバシーポリシーに則り運営されており、抵触する案件につきましては適切な対応を取らせていただきます。

 
一覧へ戻る
カテゴリー
© 老レ成 AGELIVE. All Rights Reserved.
© 老レ成 AGELIVE. All Rights Reserved.

TOP