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老成学研究所 > 時代への提言 > 「浜松防潮堤」 シリーズ > 浜松防潮堤シリーズ (6) 環境シリーズ: その2−1 「カワラハンミョウ」 静岡県立 浜松南高等学校 自然科学部 生物班 編
(2021 12 静岡県立 浜松南高等学校 自然科学部 生物班 提供)
【浜松防潮堤シリーズ】
(6) 環境シリーズ
その2−1
「カワラハンミョウ」
静岡県立 浜松南高等学校
自然科学部 生物班 編
未来を生きる人たちとは
まだ見ぬ生まれていない子孫達
そして
今 ちょうど学生時代を送っているunder 18 だろうか…
彼らが見渡す世界は 21世紀後半、
西暦2050年から3000年前となる…
今からざっと半世紀後の環境状況の予測は
現時点にて芳しくない。
過去からの 正も負も入り混じった遺産を継承しつつ
自らの時代と その先の時代に向けて
発進するNew generation達の歩みは
既に 始まっている。
©︎Y.Maezawa
浜松防潮堤シリーズ (6)環境シリーズ その2 においては
絶滅危惧種カワラハンミョウ にfocusする。
その保護・保全活動において
地元 静岡県立 浜松南高等学校 自然科学部 生物班の活動を
その2−1にて 誇らしくご紹介させていただき、
続く次回 その2−2にて 行政側の施策をご紹介させていただきたい。
©︎Y.Maezawa
若者が 本気で立ち上がると
どういうことが可能になり
どういう未来が見えてきて
この国の環境がどう担保され
そして
そこに生きる我々が どのような生き方ができるか
が 見えてくる。
©︎Y.Maezawa
いかなる大河にも 源泉 がある
そこから集まった一滴が
大海も 水の一滴
となる
一人の人間が いた
彼女は 教師になった
今 彼女の歩む後ろには 若い芽吹き が続いている
一筋の緑の道
こういうことを 教育 と言い
こういうあり方を 環境保護 というのだろう…
♩ 仰げば尊し
我が師の恩 ♬
卒業式の定番ソングだ。
しかし 師と呼びたい恩師に 果たしてどれだけの学生が出逢うことができたか…は疑問である。
ここに 多くの学生に慕われ
卒業してもなお舞い戻ってくる気持ちをもたせてくれる
素晴らしい教師がいる。
斎藤先生 という。
静岡県立 浜松南高等学校 理科(生物)教師である。
勉強に
進学に
就職に
悩むこと多きティーンエージャー後半の彼ら/彼女らが放課後続々と部室*に集まってくる。
* 静岡県立 浜松南高等学校 自然科学部 生物班 (2020年までは生物部。2021年から自然科学部 生物班 と組織編成)
そんな風景が 繰り返されてきた。
2017年(平成29年)3月 静岡県立 浜松南高等学校 と 静岡県 浜松土木事務所は 覚書を取り交わしました。
浜松防潮堤建造中も鋭意 中田島砂丘における草地化/外来植物の増殖対策のための除草、カワラハンミョウの生態調査(卵・幼虫・成虫段階、産卵、営巣 など)に取り組んできたが、防潮堤完成後も行政側と 浜松の原風景である中田島砂丘の環境を護る活動を高校生の視点で継続していく意思を確認したものでした。
行政側からの取り組みについては 次回 その2−2にて 取り扱います。
斎藤先生の車は 世界のホンダが未来に問いかけるconnected carである。
流線型の車両には 近未来を睨んだ情報通信機器が搭載されている。
その車が 太平洋を臨む静岡県遠州灘 中田島砂丘駐車場に…停まる。
リアドアを開けると 青いビニールシートが敷かれている。
沢山の重い学生鞄の山…
虫取り網に タオル、水筒、
塩分補給の飴、カロリー補助の駄菓子…
そして
とうしてもあがりこむ 砂、砂、砂…
白かった車色は幾分 灰色に…
この車が 放課後 カワラハンミョウのフィールド調査のため 自転車で静岡県立 浜松南高等学校から中田島砂丘に向かう生徒たちのために 彼ら/彼女らの鞄を運ぶ…
地理上 静岡県立 浜松南高等学校は カワラハンミョウが生息する遠州灘沿岸 中田島砂丘に市中でも最も近いが、それでも自転車で約10分内外はかかる。下校にあたり 直接 現地砂浜から出発できるよう 重い鞄は 斎藤先生の車で移動する。
高校生が 校外 それも 安全の確保に神経を尖らさざるを得ない”自然”の中で部活動を展開するにおいては その活動、移動中における時間/体力/危険防止には 担当顧問が万全の配慮をすることが前提であり、必須となる。そして 部の全責任も引き受けなければならない。
背負っているものは 活動自体の中身のみならず 半端なく広範囲で重い。
それでも 覚悟した。
誰よりも動き
誰よりも準備をし
そこにクラブ活動としての意義が発生するよう工夫し
そして
生徒たち自身が主体的に動く意欲を盛り上げている。
このような基盤があって
初めて
部活としての環境保護活動が成立している。
絶滅危惧種カワラハンミョウも またとなく心強い援軍を得たものだ。
©︎Y.Maezawa
暑い夏も
寒い冬も
海に向かう
©︎Y.Maezawa
大海原 太平洋
その海に臨む遠州灘の海岸線には 見渡す限り 中田島砂丘が添う
©︎Y.Maezawa
©︎Y.Maezawa
©︎Y.Maezawa
カワラハンミョウが 空と海の青の間で舞う。
その2センチサイズのカワラハンミョウが飛翔する砂丘を 生徒たちが 虫取り網を持って追う…
©︎Y.Maezawa
捉えるのは 結構 難しい!
空間的には 1/∞ の確率のhit だ。
©︎Y.Maezawa
©︎Y.Maezawa
©︎Y.Maezawa
©︎Y.Maezawa
フィールド調査では カワラハンミョウが産卵し、幼虫が育っている穴も探す。
生態調査だ。
広大な砂地に目を凝らし 産卵条件が整ってそうなエリアに当たりをつけて探索する。
その他 在来種を脅かす外来種の植物の除去も併せ行う。
このような限定エリアにおける定期的なフィールド調査結果は きちんと地点、数字共々 集計データ化し、調査結果に纏めて 本事業 主担当課である静岡県 浜松土木事務所 沿岸整備課に参考資料として報告され、今後の環境保護・保全対策に貢献する行政側の基礎資料として役立つものとなっている。
斎藤先生御本人は謙遜する…
「私なんて…大したことない、とんでもない…」と。
とんでもないことは
とんでもないひとによって成されるが
そのとんでもないひとは
自らの力をさほど感じていない。
しかし
斎藤先生の周りに 確実に 今どきの若い高校生が集まり、
環境保護という意識 と ノウハウ を 身につけ、
その活動の日々を礎に 次の自らの歩む道を決定し
新たに開拓していく若い力の指標 としていること
は 事実だ。
斎藤先生のうしろに 確かに 道が続き
そこに
小さくとも しっかりとした花が咲いている…
行政と高校生の力があわさり 相乗効果をうみつつ 拡大し カワラハンミョウという絶滅危惧種が救われ 中田島砂丘が生態系を維持しつつも 新しい時代に対峙するための浜松防潮堤の建立を 成果あるものに仕上げられた芯には
一人の教師 斎藤先生の存在がある
と言えよう。
そして
©︎Y.Maezawa
2021 11 24 静岡県立 浜松南高等学校 生物班は
環境省 及び 公益財団法人 日本鳥類保護連盟 主催の
第55回 全国野生生物保護活動発表大会において 優秀と認められ
環境大臣より 環境大臣賞を 受賞した。
(静岡県立 浜松南高等学校 自然科学部 生物班 提供)
(静岡県立 浜松南高等学校 自然科学部 生物班 提供)
内容は 日頃の活動を3分間の動画にまとめ、生物班が行っている環境保護活動を広く知っていただこうとしたもの です。
(静岡県立 浜松南高等学校 自然科学部 生物班 提供)
詳細:
・静岡県立 浜松南高校ホームページ
「南の部活 自然科学(生物)」
空と 海と 青春の 青が
太陽に眩しく
輝く
さらに 輝け!
©︎Y.Maezawa
* 静岡県立 浜松南高等学校 自然科学部 生物班(旧 生物部)のカワラハンミョウに関する研究にご興味のある方は 当HP 『交流の広場』内【環境シリーズ】若い力が寄り添う新しい形 をご参照くださいませ。
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(文・写真・編集: 前澤 祐貴子)
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